2022/03/14
変わる防災ビジネス 市民参加の新たな潮流
オフィス家具・什器は、誰もが毎日あたり前に使っている共用品だ。それゆえに、使い勝手や機能を意識することは意外に少ない。オフィスシーンは日常時においてさえ、使用人数や業務内容、繁閑、ワークスタイルなどに応じて刻々と変化する。非常時であれば変化はさらに急激だ。そこへ柔軟に追従し、自在にかたちを変えて、その場の行動に最もフィットする空間を素早くつくれたら――。コクヨ(本社:大阪市、黒田英邦社長)のフェーズフリーの取り組みを聞いた。
コクヨ 本社:大阪市
●教えてくれた人
ファニチャー事業本部TCM本部
官公庁営業部プロモーショングループ
青柳由美子さん
天野里美さん
ファニチャー事業本部TCM本部
TCMマーケティング部マーケティンググループ
松下早苗さん
1905年創業。文房具の製造・仕入れ・販売、オフィス家具の製造・仕入れ・販売、空間デザイン・コンサルテーションなどを手がける。従業員約6900人(連結)、売上高約3000億円。
――フェーズフリー商品の開発に取り組んだ背景を教えてください。
青柳さん(以下、敬称略) 当社のフェーズフリー商品のターゲットの一つは官公庁、自治体ですが、その背景として豪雨・台風などの災害が頻発し、コロナ禍も長期化、非常時が常態になるなかで業務継続に対する職員の方々の意識が非常に高まっていることがあります。
一方、当社では働き方改革のニーズを受けて、働きやすい庁舎のあり方を以前より提案・支援してきました。共通課題への解決策を探るなかで「フェーズフリー」に出会ったのですが、そのとき、この概念を活用すれば業務継続と働き方改革の課題を同時解決できると直感したのです。
そうして3年ほど前、コロナ禍以前から商品開発を開始しました。働き方改革の提案のなかにフェーズフリーの視点を織り込んでいくことで、日常時から非常時まで途切れなく機能し続ける働き方、そのためのオフィスのあり方を提案しようと、取り組みを進めています。
業務シーンに応じて空間をレイアウト
コンパクトテーブル「MULTIS(マルティス)」
業務シーンに応じて自在に連結し、活動に適したテーブルのレイアウトを素早くつくる。天板800×600ミリを基本とし、脚の高さ720ミリのコンパクトサイズで、誰でも持ち運べるうえ、連結は脚部に内蔵したマグネットの磁力によってテーブルを近づけたり離したりするだけで簡単に脱着できる。
天板下のフレームには半透明のポリカーボネートパネルを装着でき、これを反転させて天板上に立てることによって集中環境を確保。顔や手元を隠せるプライバシーブースにも活用でき、自治体庁舎の臨時窓口などに対応する。
出入りの人数や仕事の内容、働き方など、日常時においても刻々と変化するオフィス環境へ柔軟に追従できる機能は、非常時にそのまま生かせる。
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